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東京高等裁判所 昭和60年(ネ)1813号 判決 1985年12月19日

控訴人 甲野太郎

被控訴人 甲野花子

右訴訟代理人弁護士 城戸浩正

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

控訴人は、「原判決を取消す。控訴人と被控訴人とを離婚する。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を決め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

第二当事者の主張

当事者双方の事実上の主張は、次に付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

原判決三枚目表五、六行目の間に改行のうえ「なお、控訴人が甲野松子宅に雑居せざるを得なくなったのは、昭和二四年五月に前記のとおり被控訴人が控訴人所有の住居を無断で処分し、実兄丙川竹夫宅に同居したためであり、控訴人が甲野松子と同居していたのは昭和五八年一一月三日までであって、その後の同女のことは知らない。また、二男二郎とは同五七年一一月末以降何の接触もない。控訴人の設立した甲田株式会社も内容は零であり控訴人の代表取締役又は取締役をしている乙田株式会社、有限会社丙田からの給料も薄給もしくは無給である。」を、同四枚目裏四行目の「その後も」の次に「本件訴訟が原審係属中の昭和六〇年四月まで」を、同五行目の「などし」の次に「、また甲野松子は、控訴人との間の子である二郎と同居しており、控訴人と今なお緊密な関係を維持し」をそれぞれ加える。なお、被控訴人は控訴人の当審における右主張を否認すると述べた。

第三証拠《省略》

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は、これを棄却すべきものと判断するが、その理由については、次に付加、訂正するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、これを引用する。

原判決五枚目表八行目の「一二」を「一三」に改め、同六枚目裏末行の「一部屋」の次に「(四畳半)」を、同八枚目裏末行の「である。」の次に「しかも、控訴人、被控訴人間の婚姻関係の破綻原因が、控訴人の夫としての守操義務に反した独善的な行動にあることについて、これを顧慮する態度を全く示していない。もっとも、甲野松子は、住民票上、昭和六〇年四月二三日控訴人方から東京都《番地省略》所在の二男二郎方に転居した形になっていることが窺われるけれども、これをもって直ちに控訴人と同女との従前の関係が解消したものとすることはできない。」を、同一〇枚目表五行目の「本件」の前に「このような特別の事情のある」を、同行の「おいては、」の次に「専ら婚姻関係の破綻を招来したものとして、」を、同六行目の「認める」の次に「ことは、信義誠実の原則に徴し相当」を、それぞれ加え、同六行目の「にはいまだ十分」を削除する。

二  よって、控訴人の本訴請求は、これを失当として棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中島恒 裁判官 佐藤繁 塩谷雄)

<以下省略>

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